東豆土木株式会社

『反射炉への道』(三建だより コラム「小窓」) 2015-06-01

この5月、韮山反射炉が世界遺産登録に向けてイコモスから勧告を受けた、という記事が紙面を賑わせました。

「ん、勧告ってなんだ?」と思ってしまったのですが、それは世界遺産登録に向けてユネスコの諮問機関からお墨付きを頂いたようなもの。
登録決定がいよいよ現実味を帯びてきました。

さて、「アナタにとっての韮山反射炉は?」と問われたとしたら、「雨上がり、ランニング、キツい」と答えます。
今から三十年ほどさかのぼり、反射炉からほど近い高校の生徒だった私は、野球部に所属していて毎日の練習に明け暮れていました。
雨上がりでグラウンドが使えない日は、筋トレのあとに反射炉目指してのランニングというのがお決まりのパターン。
片道約3キロのショート・コース、若かりし部員たちにはほぼ「半ダッシュ」のペースなのです。
ゴールは反射炉脇の坂道を500メートルほど上った地点。
順位を決めるわけでもないのに、後方集団で終わりたくないという心理が働くのが運動部員たちのサガ(ある意味真面目だったんですね)。
そのサガを見透かしたかのような最後のサカが何とまあきつかったことか。
今思うとよくできたコースだったなあと感心するのですが、反射炉はそんな私たちを見守るかのように屹立していたのでした。

さて、世界遺産の話題が賑やかになれば、「韮山反射炉ってどこ?」と全国津々浦々でググられることになるでしょう。
実は私の住む南熱海から韮山反射炉までは、「山伏峠」を経由する県道を利用すれば30分でたどり着くことができます。
伊豆の東玄関口付近には他にも「熱海峠」「亀石峠」などを経由する道路があり、「背骨」といわれる伊豆縦貫道に通じる「ろっ骨道路」群が韮山反射炉へと誘うため、意外にも便利なのです。
同時に、観光アクセスについて話題を集めやすい今だからこそ、「災害時道路」としての機能を一層高めていく必要があると感じます。
東日本大震災で「櫛(くし)の歯作戦」による道路啓開が効を奏したと同じく、伊豆地区では「ろっ骨」県道がその役割を担うはず。
加えて、伊豆東海岸とほぼ平行に走る伊豆スカイラインは、はからずも噴火警戒で注目を浴びてしまった箱根山に通じており、県境を超えた緊急輸送路としての役割を果たすに違いありません。

こと防災に限っては地域間競争にあらず地域間連携にあり。

学生時代に走ったコースの道しるべに等しく、韮山反射炉が地域と地域をつなぐランドマークであってほしいと願っています。