株式会社東豆

『元年入社』(三建だより コラム「小窓」) 2019-05-01

4月になってまもない日。
用があって上京し、
その夜は六本木の街を満喫することに。

ソメイヨシノが満開の金曜日、
まさに「花金」(古い)。

午後11時をまわったころ。
地下鉄を経由して恵比寿から品川に向かう山手線に乗り込むと、
車内は朝の通勤電車と同じく超満員のすし詰め状態。

アルコール臭が充満するなか、
乗客のいでたちを眺め、
その会話を耳にすれば、
多くの人たちが新年度にまつわる歓迎会や顔合わせ会の帰り道なのでした。

「じゃあね、おつかれさま。来週も頑張ろうね」と言っているのは、
新入社員研修中と思われる女性グループ。
この春に社会人となってから最初の休日を前にして、
不安と緊張の糸がほぐれいるのでしょう。

自分が社会人になったばかりの当時を懐かしく思い出しました。
さらにこの日は新元号発表直後であり、
その懐かしみは一層強いものとなりました。

そう、私自身もまた平成最初の年に社会人となった「元年入社組」でした。

時はバブルの余韻が残る華やかなりし時代。
男も女も肩パッドがしっかり入ったスーツに身を包んで研修を受け、
「元年会」と名付けられた同期会が結成され、
まさに花金の夜ともなれば、
同期の仲間と都会の雑踏に繰り出し食べて呑んでの午前様。
アタマもカラダも平和で元気でした。

時を経て、
いよいよ「令和元年入社組」の登場です。
でもまてよ、
我々の場合はすでに「平成」になっていたけれど、
今回の改元は5月1日。
4月入社は「平成31年入社」と呼ばざるを得ないのか?

ざっと調べてみると、
政府発表に「新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議」というのがあり、
たとえば国家予算の場合、
『原則、改元日以降は、当年度全体を通じて「令和元年度」とし…』とうたわれています。

組織や団体によって考え方は異なるでしょうが、
年度については基本「元年度」で通してよいということ。
となると4月入社の場合でも「令和元年度入社」となるのですね。
よかったよかった。

日本人にとって「元年」はひとつの幸運な巡りあわせだと思うなのです。
何かとわかりやすいし記憶に残る。
自己紹介でもアピールしやすいし、
同期の結束力もなんとなくあるし、
さらに新しい世代の出現と思われやすいですし(何の根拠もありません)。
ついでに年号を数字ではなく「元」と記入できるし。

こじつけではあるのですが、
今年度社会人になった皆さんへ、
同じ「元年度入社組」として心よりエールを送りたいと思います。

理想と現実のギャップに直面しても、
新人類・異星人といわれようとも、
常に「元年度入社」を強調し、
活用しつつ頑張ってください。

ところで、
本誌『三建だより』も今号が「令和第1号」となります。
今回の小欄を担当できたのも、
「元年組」としての幸運な巡りあわせなのかといささか驚いている次第です。