『職業体験』(「三建だより」コラム) 2013-03-01
小学生2名、中学生3名が工事現場に訪れました。今回は「職業体験」という事業の一環であり、
小中学生は別の日に分かれ、
それぞれ少人数でおこないます。
日ごろ第三者は決して入ることのできない工事現場。
まずは座学として建設業全体のこと、
見学する工事の特徴などを知ってもらった後、
工事箇所全体を間近でじっくり見てもらいます。
続いて作業従事者たちとの昼食、
打合せへの参加、
重機車両への試乗、
さらには測量体験から型枠を組む模擬作業まで、
盛りだくさんの内容が実施可能となりました。
すべてが初めての体験となる彼ら、
学校から離れた高揚感もあってか、
一様に瞳が輝いているように感じたのでした。
こうした取組みには学校・発注者・受入会社の相互理解が欠かせません。
学校は先生方の巡回や保護者の一時同伴をしてくれましたし、
発注者(土木事務所)からは資料提供や公共工事に対するレクチャーに加え、
事務所を訪問した中学生に対しミニワークショップを開催してくれました。
一方、
受け入れ側にとっては、
発注者の理解を得ることはもちろんのこと、
専属職員の配置や第三者に対する安全の担保、
資機材の準備などの労力を要します。
たとえば、
業界用語を多用していないか?
場内の導線や標識は子供の目線にあるか?等、
気をもむことも多いのですが、
それは日頃の業務について自らの襟を正すことでもあり、
会社としての学びにつながります。
ところで、
参加した小学生の一人からはこんな感想が。
「リーダーの指示で、たくさんの人が分担していろいろな仕事をしていたのはビックリ。作っている物も大きいし、将来、映画監督になりたいので、この体験を役立てたい」。
ほう、なるほど。
子どもや若者へのPRというと、
どうしても未来の建設マン育成に向けての広報活動になりがちですが、
とりわけ建設業に関心のない彼らを現場にいざなうことは、
相互理解という点でとても重要なことではないでしょうか。
この産業の特質といってもいい「ダイナミズム」を体感してもらい、
未来の建設業を背負う少年が現れれば言うことはありませんが、
それよりも、日々、生コンクリートの配合やら打設時間やらに頭を悩ませながら、
厳しい自然条件の中で奮闘している人たちの姿を見てもらえれば、
少なくとも「コンクリート」と「人」を比較表現するなどという、
安易な政治スローガンに利用されることは無くなると思うのです。