『三年目の防災フェスタ』（「三建だより」コラム） 2024-02-01
令和５年11月5日、
熱海渚小公園において「あたみ防衛防災フェスタ」が開催されました。
その２年前に伊豆山で発生した土石流災害の復興イベントが始まりで、
今回が3年目。
自衛隊・海上保安庁・警察・消防・そして建設業界が一堂に集結し、
展示やアトラクションを通じてその活動内容を広く紹介、
市民や観光客に防災意識を高めてもらう、というのが主な目的です。
加えて会場では、
地元の高校吹奏楽部やエイサー団によるパフォーマンス、
ヒーローショーなどが華を添え、
当日は多くの来場者でにぎわったのでした。
ちなみに１１月１８日は「土木の日」。
建設業界からは熱海建設業協会・三建が合同で、
さらに静岡県熱海土木事務所の協力を得て、
伊豆山災害復旧や津波・高潮対策に関するパネルを展示しました。
加えて、
土木施工管理技士会三島地区がミニショベルカーや建設資材を利用したアトラクションを展開、
建機レンタル会社２社が高所作業車や重機の試乗体験をしてくださいました。
第１回開催当時を思い起こしてみると、
来場者のお目当ては主に自衛隊・警察・消防のブースでしたね。
普段見ることの無いような特殊車両や、
見慣れてはいるけど、
近寄ることはできなかった制服姿の方々との記念撮影。
それはいつでもどこでも人気の的です。
でも、
回を重ねるごとに建設ブースもにぎやかになってきたのです。
趣向を凝らした技士会ブースのアトラクションは子供たちに大人気だったし、
さらに12ｍスーパーデッキ高所作業車の試乗体験では親子連れが列をなし、
一日で延べ４３５名もの来場者が試乗といううれしい悲鳴。
たいへん人出が多かった今回のイベント、
コロナウィルスが五類感染症に移行したおかげもあったのですが、
それでけだない理由が。
一つ目に複数イベントとしての相乗効果。
当日はすぐ近くの親水公園で「熱海おさかなフェスティバル」が開かれ、
海の幸を七輪で焼く「浜焼き」に舌鼓を打つ、というコーナーが大人気。
さらに熱海港では、
海上自衛隊の輸送艇や海上保安庁の巡視船を一般公開した「マリンフェスタ・アタミ」が開催されていました。
これら三つの会場は徒歩でも移動できるうえ、
熱海港へのシャトルバスも運行され、
いわば「回遊型」イベントとしてリンクしていたのです。
二つ目は口コミによる認知度アップ。
「おさかなフェス」が観光客中心の人出だったのに対し、
「防災フェス」は地元の顔馴染みや昨年も見かけた家族連れが多かったようです。
地域住民からすればＳＮＳよりもむしろ、
「毎年あそこで何か面白いことやっている」といった口コミが会場に足を運ぶきっかけなのでしょう。
建設業界では災害対応の際、
その活躍がマスコミを通じてあまりクローズアップされません。
でも「防災」という大きなくくりの中では紛れもなく官民一体であるわけで、
業界単体で孤軍奮闘するだけでは伝わらないのも事実。
「官民協働・回遊形式・継続型」であるこの催しは、
そのもどかしさを解決するヒントとなりました。
おりしも年頭を迎えたとたん、
能登半島で未曾有の大地震が発生しました。
災害に巻き込まれるのは、
地域住民に加え、その地を訪れている人たちなのは伊豆半島も同じこと。
こうしたイベントがきっかけで、
いざというときの「横のつながり」がますます強くなることを期待しています。
