台風去って

去る10月に伊豆大島を直撃した台風26号。 「今回の台風は関東地方に接近上陸する台風としては十年に一度の強い勢力」 という気象庁の呼びかけに、平成16年に伊豆を直撃した台風22号のことを思い浮かべた。 それは9年前に修善寺で「独鈷の湯」が土砂に埋まり、伊東市の宇佐美地区が竜巻による壊滅的被害を受けた台風だ。 法面(のりめん)や路肩の崩壊に加え、多くの倒木が道を塞ぎ、当時造成中であった南熱海の長浜海岸が仮置場に指定され、倒木や枝葉類がうず高く積み上げられた光景は今でも目に焼きついている。

結果として、台風26号「ウィパー」は、わずかに伊豆半島をそれて伊豆諸島北部を直撃し、伊豆大島では三原山の外輪山中腹から発生した土石流が集落を飲み込むという、9年前の台風とは異なる種類の大災害をもたらした。

伊豆大島は島全体が溶岩流でできた火山であり、島の人たちは過酷な自然と共に何千年と暮らしを営んできた歴史がある。 火山噴火の主な現象である溶岩流という脅威についても、さまざまな防災対策を講じてきた中での新たな災害発生。 「災害といえばまず火山対策が頭にあった」 「一気に水と土砂が来た」 「気づいたときは逃げ場がなかった」 といった島民のコメントが目を引いた。

台風ひとつでも被災内容がこれほどまでに異なる上に、常に予想もしなかった災害に見舞われるのは日本だけかもしれない。 元国土交通省技官の大石久和氏は、著書『日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか』の中で、「日本では紛争による大量死の代わりに、自然災害による大量死を経験してきた。前者を”紛争死史観”、後者を”災害死史観”と名づければ、日本人は後者によって国土に対する考えや、国民としての思考・感情を育んできた」と述べている。

もとい、伊豆大島は熱海からジェットフォイルが運行しているうえに、「熱海梅園梅まつり」「伊豆大島椿まつり」で相互交流をしている身近な存在。 一刻も早くの復旧を願うばかりだ。