元年入社

4月になった。 用があって上京し、その夜は東京都内の某所で一杯。 ソメイヨシノが満開の金曜日で、それはまさに「花金」(古っ)。

午後11時をまわった。 地下鉄を経由して恵比寿から品川に向かう山手線に乗り込むと、車内は朝の通勤電車と同じくらい超満員のすし詰め状態。

アルコール臭が充満するなか、乗客のいでたちを眺め、その会話を耳にすれば、 多くの人たちが新年度にまつわる歓迎会や顔合わせ会の帰り道だった。

「じゃあね、おつかれさま。来週も頑張ろうね」と言っているのは、新入社員研修中と思われる女性グループ。 この春に社会人となってから最初の休日を前にして、不安と緊張の糸がほぐれているのだろう。

彼女たちを見て、自分が社会人になったばかりの当時を懐かしく思い出した。 さらにこの日は新元号「令和」の発表直後であり、その懐かしみは一層強いものに。

そう、私自身もまた平成最初の年に社会人となった「元年入社組」だ。

時はバブルの余韻が残る華やかなりし時代。 男も女も肩パッドがしっかり入ったスーツに身を包んで研修を受け、「元年会」と名付けられた同期会が結成され、花金(2回目!)の夜ともなれば、同期の仲間と都会の雑踏に繰り出し、食べて呑んでの午前様。 アタマもカラダも平和で元気でした。

時を経て、いよいよ「令和元年入社組」の登場だ。 でもまてよ、我々の場合はすでに「平成」になっていたけれど、今回の改元は5月1日。 4月入社は「平成31年入社」と呼ばざるを得ないのか?

ざっと調べてみると、政府発表に「新元号への円滑な移行に向けた関係省庁連絡会議」というのがあり、たとえば国家予算の場合、『原則、改元日以降は、当年度全体を通じて「令和元年度」とし…』とうたわれている。

組織や団体によって考え方は異なるだろうけど、年度については基本「元年度」で通してよいということ。 となると4月入社の場合でも「令和元年度入社」となるわけか。 よかったよかった。

日本人にとって、「元年」はひとつの幸運な巡りあわせだと思う。 何かとわかりやすいし記憶に残る。 自己紹介でもアピールしやすい。 同期の結束力もなんとなくある。 さらに新しい世代の出現と思われやすい(何の根拠もありません)。 ついでに年号を数字ではなく「元」と記入できる、一風変わった慣例。

今年度社会人になった皆さんへ、同じ「元年度入社組」として心よりエールを送りたい。

理想と現実のギャップに直面しても、新人類・異星人といわれようとも、常に「元年度入社」を強調し、活用しつつ頑張ってください。